スイーツ芸人スイーツなかの

「スイーツを擬人化しちゃう」スイーツに囲まれて育った男が「時代×偏愛」で得た、新たな芸人像とは

街はすっかりクリスマスムードですね。

クリスマスと言えばケーキ!という雑なアイデアから始まった今日のインタビューは巨大な帽子がトレードマークのスイーツ芸人「スイーツなかの」さんです。

最新のスイーツ事情からスイーツ界の裏話、ちょっといい話などを聞きました。
イマムラ
イマムラ
いつからスイーツ芸人なんですか?
なかのさん
なかのさん
スイーツ芸人って名乗り始めたのは、2015年くらいですかね。
僕は吉本の東京NSCっていうところの16期生で、2011年デビューなんです。
イマムラ
イマムラ
それまでは何をしてたんですか?
なかのさん
なかのさん
前はコンビでやっていたんですけど、それが解散して、ピンでやろうかどうしようってなってたんです。

それで次の相方見つかるまでのつなぎくらいの感覚でスイーツのことをやってみたら、次第にこっちが上手くいくようになってきたって感じですね(笑)。
イマムラ
イマムラ
そうだったんですか。
なかのさん
なかのさん
もともと芸人になったのもテレビに出たいっていうのが動機で。

時代的にもネタ番組が少ないし、コンビでネタやるより何かに特化したタレントになったほうがいいとも思い始めて今の活動を始めました。
イマムラ
イマムラ
めっちゃ分析してますね。「スイーツなかの」になったのはいつなんですか?
なかのさん
なかのさん
「スイーツなかの」に名前を変えたのは去年のホワイトデーです。
イマムラ
イマムラ
とても覚えやすい。その帽子もすごいですよね。
なかのさん
なかのさん
これはフェイクスイーツっていうアートのカテゴリーがあるんですけど、そのアーティストの人にオーダーメイドで作ってもらいました。
イマムラ
イマムラ
重そうですね。
なかのさん
なかのさん
重いです。体張ってます。

「重いです。」

イマムラ
イマムラ
スイーツ好きな人ってたくさんいると思うんですけど、なかのさんが掲げるテーマとかこだわりがあったりするんですか?
なかのさん
なかのさん
僕がいつも発信するときにやりたいと思っていることが、造り手の方にフォーカスが当たるような発信をしていきたいと思っているんです。

「なんでこのショートケーキが作られたのか」とか「なんでこのクッキーが作られたのか」「なんでこの素材を使っているのか」っていうことを深掘っていくと生産者のこだわりが見えてくるんです。
イマムラ
イマムラ
造り手のこだわりですか
なかのさん
なかのさん
そうです。スイーツってものによっては結構いい値段するんですけど、そういうこだわりを伝えることで価格にも説得力が生まれると思うんです。

だからそういったところを伝えられるようになればいいなぁっと思ってます。
イマムラ
イマムラ
そういったスイーツとの向き合い方が生まれてきたのはスイーツ芸人になってからですか?
なかのさん
なかのさん
そうですね。大学生のときに自分で使えるお金も増えたので、いろんなスイーツのお店に行ってたんですけど、そのころは単純に食べて「美味しいなぁ」って感じでした。

でもこういう活動をやっていると、造り手の方たちの話を聞くことが多いんです。そういう造り手側のストーリーとかお店の歴史とか裏話とかがとても好きですね。
イマムラ
イマムラ
いろんなエピソードがありそうですね。
なかのさん
なかのさん
例えば千疋屋ってあるじゃないですか。あれは千疋屋総本店、京橋千疋屋、銀座千疋屋ってあるんですけど全部別々の会社なんですよ。
イマムラ
イマムラ
え、そうなんですか!?
なかのさん
なかのさん
昔、暖簾分けされてるんですけど、意外とみんな知らないですよね。だから、置いてある商品も違うんです。フルーツサンドひとつとっても形が各千疋屋によって違っていたりするんです。
イマムラ
イマムラ
歴史のあるお店ほど、そういう話ありそうですね。
なかのさん
なかのさん
ありますね。他にも例をあげると、不二家とコロンバンっていうお店があって、どちらも日本のショートケーキ発祥のお店って言われているんですけど、どちらもそれは主張してないんですよね(笑)。

ホームページ見るとどっちも「〇〇年にショートケーキを販売しました」みたいな書き方になっているんですね。「初めてショートケーキを販売した」とは書いてないんです。
イマムラ
イマムラ
明言してないんだ。
なかのさん
なかのさん
僕は両方のお店の方と話す機会があったんですけど、お互いに探り合うんですよね(笑)。「あっ、あちらはそう言ってたんですか」みたいな。
イマムラ
イマムラ
結局どっちだったんですか???
なかのさん
なかのさん
それがわからないんですよねぇ~。たぶんコロンバンっていう話もあるんですけど、こういうのは曖昧なのも含みがあって面白いんですよ。
イマムラ
イマムラ
なんかドラマみたいになってきましたね。

「曖昧なのも面白さ」

イマムラ
イマムラ
スイーツにハマるきっかけは何だったんですか?
なかのさん
なかのさん
父と母が甘いものが好きだったのが1番大きいと思います。父はよくケーキを買ってきてて、母もお菓子作り好きな人だったんです。身近にいつもお菓子が溢れてる家だったんですよね。
イマムラ
イマムラ
思い出のお菓子とかあるんですか?
なかのさん
なかのさん
1番覚えてるのは泉屋っていうクッキーの老舗ですね。家にいつもその泉屋のクッキーの箱があった気がします。それがすごい好きでした。
イマムラ
イマムラ
このクッキー、見たことある気がします。
なかのさん
なかのさん
そうですよね。だいたいみんなどっかで出会ってるんです。

こういう仕事を始めてから改めて泉屋のことを調べたんですけど、これが結構面白くて。
イマムラ
イマムラ
はい
なかのさん
なかのさん
リングターツっていう丸いドーナツみたいなクッキーがあるんですけど、そのクッキーの上に4色の飾りがついてるんですね。その飾りにもちゃんと意味があるんですよ。
イマムラ
イマムラ
へぇ〜!
なかのさん
なかのさん
泉屋はある夫婦が創業したんですけど、旦那様である創業者の泉伊助さんが先に亡くなり、残された妻の園子さんと子供3人で力を合わせて乗り越えていこうっていう意味で4つついています。

丸い形も浮き輪をイメージして、どんな困難があっても沈まないっていう意味もあったり。そういうのも面白いなぁっと思ってます。
イマムラ
イマムラ
それも1つの「お菓子の向こう側のストーリー」ですね。
なかのさん
なかのさん
そうなんですよ!そういうのがすごい好きでやってますね。
イマムラ
イマムラ
なるほどぉ。ではそんなスイーツなかのさんが最近注目しているスイーツってなんですか?
なかのさん
なかのさん
最近は和菓子を作っている人たちの情熱を強く感じています。
イマムラ
イマムラ
和菓子ですか。意外ですね。
なかのさん
なかのさん
和菓子ってまだまだ若い人たちには注目されていないと思うんです。
イマムラ
イマムラ
確かに洋菓子のほうが注目を集めている気がします。
なかのさん
なかのさん
でも、従来の伝統的な手法を使って新しいものを作っていこうとしている人たちがたくさんいるんです。

例えば「wagashi asobi」っていうお店があって、ここはドライフルーツを使った羊羹を出してるんですね。そのドライフルーツの羊羹をバケットに乗せて食べるっていう提案をしていて。
イマムラ
イマムラ
羊羹とバケットって想像つかないですね。
なかのさん
なかのさん
それが美味しいんですよ。そういった取り組みをしている和菓子屋さんが多くて注目してます。
イマムラ
イマムラ
他にそういうお店ってあるんですか?
なかのさん
なかのさん
島根県にある「吉岡製菓」のフルーツ大福がすごくて。いちごとか、メロンとか、ぶどうが入ってるんですけど、見た目が大福というよりは1つの宝石みたいな感じでキラキラしているんです。
イマムラ
イマムラ
えっ!?これホントに大福なんですか???
なかのさん
なかのさん
大福なんですよ。周りが餅生地なんですけど、手を一切触れずに作ってるらしくて、それだけ鮮度を大事にしているんです。
イマムラ
イマムラ
すごいこだわり。
なかのさん
なかのさん
最近は色々と面白い取り組みをしている若い和菓子屋さんが多くて、そういうお店をどんどん発信していきたいですね。
イマムラ
イマムラ
確かに僕も知りませんでした。。。まだ知られていないお店もたくさんありそうですね。
なかのさん
なかのさん
和菓子屋さんは洋菓子屋さんに比べてそこまでPRとかが上手じゃないんです。
イマムラ
イマムラ
やっぱりそこなんですね。
なかのさん
なかのさん
僕もいろんなPR会社からリリースもらって発表会に行くんですけど、和菓子ってそういうことあまりしないんです。
イマムラ
イマムラ
あんまり見たことないですね。
なかのさん
なかのさん
いいもの作ってもそれが届かない、というのがもったいないし、「もっとできるのにな」って思うこといっぱいあるんです。食べてみたらこんなに美味しいのに!って。
イマムラ
イマムラ
もったいない気がしてきました。
なかのさん
なかのさん
あとは単純に和菓子っていうものでムーブメントを作れたらいいですね。

スタバのお菓子コーナーに和菓子ある、みたいな。そこまで持ってこれたら面白いのになぁって思いますね。コーヒーと和菓子って結構合うんですよ。
イマムラ
イマムラ
スタバと和菓子は確かに良さそう。
イマムラ
イマムラ
洋菓子はどうですか?
なかのさん
なかのさん
洋菓子は「インスタ映え」みたいな流れのなかで見た目が可愛いものが依然として多い傾向ではあるんですけど、去年が1番ピークだったかなと思ってます。

それに比べれば今年は原点回帰というか、今まであったものをアップグレードしていこうっていうものが多い気がします。
イマムラ
イマムラ
これから来そうなスイーツってありますか?
なかのさん
なかのさん
第4のチョコレートと呼ばれているルビーチョコレートというのは注目してます。ピンクっぽいルビー色のチョコレートなんですけど、そのままの状態だったら着色料を使ってなくてルビー色なんです。

実際にお菓子になったときは、メーカーが着色料を入れるかもしれないですけど。これが次のバレンタインで来るのではと思ってます。

ルビーチョコレート: 着色料を使わずに作られるルビー色のチョコレート。スイスのバリーカレボー社が10年以上かけて開発し、2018年に製菓用チョコレートとして販売を開始した。ベリー系のフルーティな味わいがある。

イマムラ
イマムラ
なかのさん的にスイーツの魅力ってなんですかね?
なかのさん
なかのさん
僕、スイーツを擬人化しちゃうところがあって。
イマムラ
イマムラ
擬人化
なかのさん
なかのさん
例えばコンビニのシュークリーム1つ取っても、コンビニによって生地とか中のクリームとか全然違うんですよ。

セブンだったらクリームがちょっとポテッっとしてるし、ファミリーマートだったらトロっとしてるし、ローソンだったら生地がしっかりしてるとかあるんですけど。
セブンだったらクリームしっかりしててちょっと長男っぽいな、ファミマだったら甘くてとろっとしてるから三男っぽいな、とか。ローソンは中間くらいだからいとこの次男かな、とか。
イマムラ
イマムラ
ディープですね。
なかのさん
なかのさん
見てるとそういう感じがしてきて、だんだんそういう風にしか見えなくなってきて。

パフェってすごいたくさんの層があって、最初は甘くて美味しいのに最後はさっぱりしてて「すごい、大人の女性だなぁ。。。」みたいなことをずっと1人でやってますね(笑)。

「大人の女性だなぁって…」

イマムラ
イマムラ
なかのさんがこれからやりたいことってありますか?
なかのさん
なかのさん
まだ、「こうだっ」ていうのは見つかってないですけど、僕が僕にしか出来ないようなやり方でスイーツの魅力を発信していきたいと思いますね。それがネタなのかトークなのか執筆なのかはまだわからないですけど、いろんな方にカジュアルにスイーツのことを知ってもらいたいです。

取材・文:イマムラケンタ(@imamurider01

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スイーツなかの
スイーツ芸人
東京都立川市出身。1986年11月05日生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー東京NSC16期生。現在はメディア出演や執筆などでスイーツの魅力を発信中。毎日SHOWROOMで生放送をしており、最近はライブコマースに挑戦し完売を達成。ラジオが好き。トレードマークの帽子はフェイクスイーツのアーティストに特注して15万円で作ってもらったとのこと。帽子を取ると気づいてもらえないのが悩み。