コンテンツクリエイター藤原 麻里菜

無駄づくり 藤原麻里菜「無駄とは博愛的なもの。作品にメッセージは、ない」

無駄な発明品をつくる動画作品「無駄づくり」をYouTubeに投稿し、昨年には書籍『』を出版した藤原麻里菜さん。 独特のユーモアとセンスから生み出される数々の無駄な発明品は、なぜ生まれたのか。藤原さんの創作活動への想いを伺いました。
イマムラ
イマムラ
ものづくりは以前からされてたんですか?
藤原さん
藤原さん
小さい頃から美術が好きでやってました。

高校生くらいのときから彫刻をやったり音楽をやったりしていたんですけど、電子工作とかはやったことがなかったです。
イマムラ
イマムラ
そんななかで「無駄づくり」というテーマはどうやって生まれたんですか?
藤原さん
藤原さん
無駄づくりを始めたのは本当にノリで。無駄なもの作ったら面白いんじゃないかと思って始めたんです。
イマムラ
イマムラ
以前は芸人さんだったんですよね?
藤原さん
藤原さん
そうですね。もともとが芸人だったのでネタとかも作ってたんですけど、喋ったり動いたりするお芝居がとても苦手で。

台本を書くことはあったんですけど、それを面白く演じることが苦手だなぁというのがあったんです。
イマムラ
イマムラ
そこでYouTubeなんですね。
藤原さん
藤原さん
はい。YouTubeなら自分で撮影して、編集して、演出して、100%自分が面白いと思える自分を世の中に届けられるので面白いなって思いました。

自分の中の鬱屈した気持ちを無駄づくりで作品として昇華出来ていることが好きでモチベーションになってますね。
イマムラ
イマムラ
そもそもお笑いの世界に入ろうと思ったきっかけはなんだったんですか?
藤原さん
藤原さん
高校生の頃は勉強してなかったので、進学をしなかったんです。

でも、お笑いは好きだったので芸人になりたいなぁと思って吉本に入りました。
イマムラ
イマムラ
まっすぐですね。芸人時代から、いまの活動に至るまでにはどういった変化があったんですか?
藤原さん
藤原さん
芸人をやっていた最初の2~3年は、芸人のスピリットみたいな物があったので「笑わせる」「爆笑」みたいなところが目標にあったんですど、やっていくうちにだんだん私がやりたいことは「爆笑」っていうゴールじゃないなってことを思うようになったんです。
イマムラ
イマムラ
ほう。
藤原さん
藤原さん
だんだんと自分の中の想いを表現したいという部分が大きくなってきたんです。

お笑いの方程式ではない、自分の中にしかない自分の笑いを表現したいっていう想いが強くなってきたんです。
イマムラ
イマムラ
確かに一般的なお笑いと藤原さんの作品はかなり違いますよね。
藤原さん
藤原さん
テレビとかのお笑いって言葉に出来るお笑いが重宝されるというか。構造がしっかりしてないとみんな笑いづらい、みたいなところはあると思うんですけど。

YouTubeにはそれがないので、従来のものにとらわれない笑いを表現できるところがいいなぁと思いますね。
イマムラ
イマムラ
確かにそうかもしれませんね。そういった変化は無駄づくりの活動をしながら徐々に具体的になっていったんですか?
藤原さん
藤原さん
そうですね。無駄づくりを嫌でも作り続けるうちに、他の人にはない、自分の中にしかない感覚っていうものを言語化出来るようになってきたので。

それがだんだん見えてきたことによって、もっと自分の作りたいものを作れるようになってきたと思います。
イマムラ
イマムラ
それを実感するようになったのはいつ頃ですか?
藤原さん
藤原さん
文章書き始めたころかもしれないですね。歩くたびにおっぱいが大きくなる装置とかもブログで記事にしたんですけど、文字にすることによってその内観が見えるようになってきたところもあると思います。
イマムラ
イマムラ
藤原さんの作品には独特の面白さがあると思うんですけど、あえてそれを言語化するとしたらどんな言葉になると思いますか?
藤原さん
藤原さん
自分の中で一言にするなら「複雑な間抜けさ」って呼んでます。
イマムラ
イマムラ
「複雑な間抜けさ」。なるほど、すごくしっくり来ました。
イマムラ
イマムラ
お笑いの道を志したのには、どんな理由があったんですか?
藤原さん
藤原さん
人を笑わせたいのは、自分が承認されたいっていうのが原動力ですね。

私は面白いって言われるのが一番嬉しいんです。
イマムラ
イマムラ
それを認識するようになったのはいつごろからなんですか?
藤原さん
藤原さん
変なことをするのはすごい好きで、人から外れたことをするのが昔から好きなんです。

小学校高学年のときに「急にキレる」っていうのが面白いと思ってて、一回やったらめちゃくちゃ受けたんですよね。自分が思いついた、ちょっと外れたことをやって笑ってくれるのが面白いなって思ったんです。
イマムラ
イマムラ
人を笑わせることが満足感につながると。
藤原さん
藤原さん
人が思いつかないことを思いついて、人を笑わせるっていうのがやりたくなったんですよね。

君が代をロック調で歌ってみるとか、急に未来から来た人のフリするとか。
イマムラ
イマムラ
それは面白い(笑)。どことなくシュールなユーモアがスタイルなんですかね。
藤原さん
藤原さん
たぶん見てたんだと思うんですよね、そういうシニカルな笑いのある作品を。シティボーイズとかモンティ・パイソンとかは好きでしたね。

シニカルでインテリ感があるけど何も残らない、みたいな笑いが好きでした。
イマムラ
イマムラ
生き方に哲学のようなものはあるんですか?
藤原さん
藤原さん
すごいシンプルなんですけど、「自由」ですね。
イマムラ
イマムラ
「自由」ですか。ぴったりですね。それにはなにか原体験があるんですか?
藤原さん
藤原さん
中学生のときに、帰り道で電柱の影に立ってるサングラスかけたおばさんが芋けんぴ食べてるのを見つけて、それがすっごい面白かったんですよね。
イマムラ
イマムラ
藤原さん
藤原さん
それで「私、今から京都行けるな」って思ったんですよね。
イマムラ
イマムラ
な、なるほど。。。
藤原さん
藤原さん
学校の校則とか、家の門限とか、なんでもないなーって思ったんですよね。
イマムラ
イマムラ
でも確かにそうですよね。実際には何にも縛られていない、それに気付いたきっかけが芋けんぴ食べてるおばさんだったんですね(笑)。
藤原さん
藤原さん
そうですねぇ~。あんまりそういう人がいる地域じゃなかったので、もしかしたらおばけだったのかもしれません。結局、京都も行かなかったですし。
イマムラ
イマムラ
それが今でも残っているんですね。
藤原さん
藤原さん
芸人になるときも、別に何者にでもなれると思ったんです。だから、芸人にもなれたしYouTuberにもなれたし。

本当の意味での、自分が縛られていることに気付くみたいなことがあったんですよね。
イマムラ
イマムラ
自分が自由であることに気付くことで、何者にでもなれるのかもしれないですね。
イマムラ
イマムラ
藤原さんはファンも多くいるわけですけど、ファンの方たちと交流とかはあるんですか?
藤原さん
藤原さん
あまりないですね。人間関係が一番苦手で、「あの動画が好きです」とか言われてもリアクションに困ってしまうというか。
イマムラ
イマムラ
ファンクラブみたいなこともやらないんですか?
藤原さん
藤原さん
興味はありますが、まだやれないですね。

なんというか、お金を取ると有益なことをしなければいけない気がするんです。
イマムラ
イマムラ
確かに、そういう意味では「無駄づくり」は有益な何かではないところに面白さがある気もします。
藤原さん
藤原さん
私は100%ふざけていたいんです。

作品は作るんですけど、それにも皮肉の意思も社会風刺の意図もなくて、ただふざけているだけなんです。
イマムラ
イマムラ
そうなんですか。人間関係が苦手ってお話があったんですけど、結構生きづらそうだなって思うんですよ。
藤原さん
藤原さん
そうですね(笑)。
イマムラ
イマムラ
生き方として、かなりアーティストだとも思うんです。ただ作品には批評の意図も、風刺の意図もないという話だったんですが、逆に何か世の中に対して言いたいこととか、作品に込めたメッセージとかってあるんですか?
藤原さん
藤原さん
いや、ないですね。そういうのはないほうが私は好きです。
イマムラ
イマムラ
ないんですか。
藤原さん
藤原さん
人を変えようとするのが一番嫌いなんです。

オンラインサロンとかやっている人って「サラリーマンがダメだ」みたいなこと言うじゃないですか。
イマムラ
イマムラ
脱サラがテーマのサロンやビジネスは多いですよね。
藤原さん
藤原さん
それもわかるんですけど、私はそういうのも含めて肯定していたいんですよね。

「無駄」って博愛的なものだと思うんですよ。
イマムラ
イマムラ
無駄は博愛的なもの。
藤原さん
藤原さん
ポエミーなんですけど。例えば便座の自動開閉機能って無駄だけどすごく必要とされてるじゃないですか。
イマムラ
イマムラ
はい。
藤原さん
藤原さん
そういうのも含めて「無駄」って面白いなって思います。

だからどんな人が私の動画を見て面白がってくれても、私は嬉しいんです。

取材・文:イマムラケンタ()

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藤原 麻里菜
コンテンツクリエイター
発明家、文筆家、映像作家。YouTube、Twitter、Instagram、Facebookページで無駄な発明品「無駄づくり」を発信、エッセイの執筆などの活動を行っている。代表作に「歩くとおっぱいが大きくなるマシーン」など。本当は趣味のギターを一日中弾いている生活がしたいらしい。近著に『無駄なことを続けるために - ほどほどに暮らせる稼ぎ方 - (ヨシモトブックス)』。