銭湯の浴室のイラスト作品シリーズ「銭湯図解」のイラストレーター 塩谷歩波さん。会社員時代、休職をきっかけに銭湯の世界を知り、高円寺の銭湯「小杉湯」の番頭としても働く塩谷さんが最近力を入れているオンラインサロン「銭湯再興プロジェクト」について聞きました。

イマムラ
なんで銭湯の絵を描こうと思ったんですか?

塩谷さん
もともとは街の絵を描いていたんです。きっかけは大学時代なんですけど、研究のテーマとして佐賀県の地方都市にいって、その町のイラストをたくさん描きました。
それで、その地元の人たちには絵を見てもらう機会があったんですけど、そのときに「普段自分たちが暮らしている街の印象と違っていて、自分の街を好きになることできた」という感想をいただいたんです。その言葉が嬉しくて、街の絵を書くことがやりたいと思うようになりました。
それで、その地元の人たちには絵を見てもらう機会があったんですけど、そのときに「普段自分たちが暮らしている街の印象と違っていて、自分の街を好きになることできた」という感想をいただいたんです。その言葉が嬉しくて、街の絵を書くことがやりたいと思うようになりました。

イマムラ
イラストを通して地元の魅力を感じるって素敵ですね。銭湯はいつ頃登場するんですか?

塩谷さん
大学を卒業してから設計事務所に勤めたんですけど、体調を壊してしまったんです。
そのとき治療の一環としてお医者さんに湯治を勧めてもらって、それから銭湯に行くようになったんです。
そのとき治療の一環としてお医者さんに湯治を勧めてもらって、それから銭湯に行くようになったんです。

イマムラ
そうだったんですか。

塩谷さん
それで体調が回復したこともあり、銭湯への恩返しの意味で銭湯のイラストをSNSに投稿するようにしたら、いろいろな反響をいただけて。

イマムラ
銭湯図解が誕生したんですね。


イマムラ
今日は高円寺の銭湯「小杉湯」で取材させていただいていますが、塩谷さんはこの小杉湯の番頭でもあるんですよね?

塩谷さん
そうですね。

イマムラ
銭湯が好きすぎて銭湯に就職しちゃったんですか?

塩谷さん
それもありますね(笑)。きっかけはここ小杉湯の三代目の平松さんが誘ってくれて、それで転職したんです。

イマムラ
最近は「銭湯再興プロジェクト」というオンラインサロンもされていますよね?

塩谷さん
はい。

イマムラ
これはどういうきっかけで生まれたんですか?

塩谷さん
あのプロジェクトは、私がやろうと言って始めたわけではなくて。
その当時、今もですけど、銭湯図解の仕事が多すぎて忙しくなってしまったんです。
その当時、今もですけど、銭湯図解の仕事が多すぎて忙しくなってしまったんです。

イマムラ
今や引っ張りだこですもんね。

塩谷さん
そんなとき平松さんに、私はオンラインサロンが得意だと思う、って言われたんですね。
その時は、「そもそもオンラインサロンとは何じゃ」って感じで。なんか胡散くさいなって思ったんです(笑)。
その時は、「そもそもオンラインサロンとは何じゃ」って感じで。なんか胡散くさいなって思ったんです(笑)。

イマムラ
なるほど(笑)。忙しい中でオンラインサロンって余計忙しくなりそうですけど、どういうことなんですか?

塩谷さん
そのとき平松さんが言ったのは「オンラインサロンを居場所として捉えてみたら?」ってことだったんです。

イマムラ
わかるような、わからないような。

塩谷さん
そうなんですよ。そのときも全然ピンときてなかったんですけど。
ただ、関わっているうちにだんだんわかってきましたね。
ただ、関わっているうちにだんだんわかってきましたね。


イマムラ
「銭湯再興プロジェクト」は銭湯を再興するプロジェクトってことですよね?

塩谷さん
そうです。

イマムラ
具体的に何を目標にしているんですか?

塩谷さん
一番は銭湯をカルチャーにしたいんです。

イマムラ
銭湯をカルチャーに、ですか。

塩谷さん
銭湯って「斜陽産業で数が減っている」と世間では言われがちですが、その見方ってつまらないな、と思ったんです。
私は「銭湯ってこんないい場所なんだ!」って思ったので、それを広めたくて銭湯図解の活動も始めたんです。だから銭湯をカルチャーにしたいとも思ってます。
私は「銭湯ってこんないい場所なんだ!」って思ったので、それを広めたくて銭湯図解の活動も始めたんです。だから銭湯をカルチャーにしたいとも思ってます。

イマムラ
銭湯がカルチャーになった世界ってどんなイメージですか?

塩谷さん
銭湯って日常の中にあるものだと思うので、日常的な文化にしていきたいですね。
例えば女子高生が学校の帰りに銭湯に寄って帰っていくみたいな動きがあってもいいなぁと思っています。
例えば女子高生が学校の帰りに銭湯に寄って帰っていくみたいな動きがあってもいいなぁと思っています。

イマムラ
それは確かにとてもおもしろい。


イマムラ
銭湯再興プロジェクトではどんな活動をしているんですか?

塩谷さん
今は月一定例会議をしています。小杉湯は木曜が定休なので、それを利用して浴室にスクリーンを用意して、それぞれの活動をプレゼン大会するときもあります。

イマムラ
どんなプレゼンがあるんですか?

塩谷さん
みんなが再興プロジェクトでやりたいこととか、今進んでるプロジェクトを発表したりするんです。たまにゲストとかも呼びます。

イマムラ
でもそういう運営って大変じゃないですか?ただでさえお忙しいのに。

塩谷さん
それが、サロンのメンバーが主体的にいろいろなことを率先してやったり、アイデアを出したりしているので、私は運営部分にあまり関わっていないんです。
私もリーダーではなくて、一人のメンバーとして参加していて月額の会費も払っています。
私もリーダーではなくて、一人のメンバーとして参加していて月額の会費も払っています。

イマムラ
メンバーが主体的にっ!それはすごいですね。だいたいお金を払っていると、お客さん的な人が多いというか、受動的になってしまいがちな気もするんですけど。どうしてそういった人が集まったと思いますか?

塩谷さん
銭湯を軸に繋がっていることが重要かなと思ってます。みんな銭湯が好きで、小杉湯が好きなんですよね。

イマムラ
まず何より銭湯愛があるんですね。

塩谷さん
あとは銭湯が好きな若い人って、優秀で、性格も穏やかな人が多いのかなって思ってます(笑)。

イマムラ
なるほど。

塩谷さん
あとは、サロンの招待ページで「こんな人に来てほしい」とかサロンの目的意識とかをすごくしっかり書いたんです。
具体的に書くことで、読んでくれた人が「これは自分のことかもしれない」と思って来てくれるから、主体的な人が集まるんだと思います。
具体的に書くことで、読んでくれた人が「これは自分のことかもしれない」と思って来てくれるから、主体的な人が集まるんだと思います。

イマムラ
めっちゃ勉強になります。

小杉湯の中にも塩谷さんのイラスト

イマムラ
サロンメンバーとのコミュニケーションはどうやっているんですか?

塩谷さん
FacebookページとSlackを使っているんですけど、オンラインよりオフラインのコミュニケーションのほうが活発ですね。

イマムラ
オフラインですか?

塩谷さん
みんな小杉湯のお風呂に入りに来るんです。だからサロンのメンバーと週に2ー3は会うし、飲みに行くし、旅行にも行くんですよ。
週の半分以上、サロンメンバーと行動していますね。 小杉湯にはまって引っ越してきた人も二人います(笑)。
週の半分以上、サロンメンバーと行動していますね。 小杉湯にはまって引っ越してきた人も二人います(笑)。

イマムラ
すごいっ…!

塩谷さん
そんな感じで、生活とサロンが密着しているみたいな人も結構いるんです。

イマムラ
なんか良い意味で大学のサークルみたいですね。

塩谷さん
そうですね(笑)。オンラインサロンの会費も、サークル費みたいな感覚かもしれません。

イマムラ
なかなかそこまでコミュニティが育ったオンラインサロンってないと思うんですけど、なんでそんなにうまくいってるんですか?

塩谷さん
やっぱりオフラインの場所があることは大きいなって思います。オンラインだと限界があるのかなと思っていて。

イマムラ
小杉湯はお風呂に入る場所でもあり、サロンメンバーが集まる場所でもあるんですね。


イマムラ
銭湯再興プロジェクトは今後どうなっていくんですか?

塩谷さん
再興プロジェクトは私のやりたいことではなくて、メンバーのやりたいことを進めていく流れになってきているんです。今は提案する人がいっぱいいるっていう状況です。
その中で考えていることだと、例えば今は小杉湯をベースにイベントをやっているんですが、今年はそのようなイベントを別の銭湯でもできるようにしたいと思ってます。小杉湯以外の銭湯や、東京以外の銭湯とも絡んでいきたいですね。
その中で考えていることだと、例えば今は小杉湯をベースにイベントをやっているんですが、今年はそのようなイベントを別の銭湯でもできるようにしたいと思ってます。小杉湯以外の銭湯や、東京以外の銭湯とも絡んでいきたいですね。

イマムラ
それは楽しみですね。塩谷さん個人としては、展望などありますか?

塩谷さん
本を出したあとのことはあまり考えていませんが、母校の早稲田大学で授業をできる日がくればいいなぁと思ってます。
お話したように、銭湯図解は大学時代の研究の延長のような部分があるので、大学とつながって、今やっていることを学問と紐付けることができたらいいなぁと思ってます。あと、銭湯を中心に街自体を描きたいです。
お話したように、銭湯図解は大学時代の研究の延長のような部分があるので、大学とつながって、今やっていることを学問と紐付けることができたらいいなぁと思ってます。あと、銭湯を中心に街自体を描きたいです。

取材・文:イマムラケンタ()